全学的な取り組みへ
3年目には、全校生徒を体育館に集めて、ピアメディエーションの全学講演会を開きました。①教員によるピアメディエーション劇、②ピアメディエーションの解説(聴くことの重要性と話し合い解決の手法)を行っています。
教員によるピアメディエーション劇は、教員が生徒に扮して、学校で日常起きる生徒間のケンカ(トラブル)を生徒が間に入って解決する内容のもので、この年からはじめて、3本のシナリオを作成しています(全学講演会は年1回なので、3本のストックがあると、生徒は卒業までに違った内容の劇を毎年見ることになる)。
この全学講演会の実施は、ピアメディエーションの実践課程がきわめて重要な段階に入ったことを意味します。
第1に、今までは、クラブのメンバーを中心にした一部の生徒の取り組みにとどまっていました。しかし、全学講演会の場合、時間的・内容的な制限があるとはいえ、全校生徒が参加します。
ピアメディエーションは、一部のエリート学生の取り組みにとどまっていてはまったく意味がありません。ピアメディエーションは、学校における紛争、トラブルを、暴力ではなく、対話で解決するのだという学校文化の創造の問題です。平和で安全な学校づくりは、全学的な課題であり、全校生徒が担ってこそ意味があります。したがって、全校生徒がピアメディエーションの意味を理解することが必須であり、全学講演会はその第1歩になるという意味で画期的なのです。
第2に、教職員のかかわり方が大幅に変わりました。今までは、教職員が主体的に取り組むというよりは、活動主体はNPO法人で、教職員はむしろサポート役でした。
しかし、いつまでもシヴィルは学校にいるわけではありません。私も売れっ子の弁護士として結構忙しいのです(冗談です)。この全学講演会では、ピアメディエーションの解説の部分は私がやりましたが、メディエーション劇のシナリオは教職員が作成し、演じたのも教職員でした。