2茨田プロジェクト~ 2年目(2007年4月~2008年3月)

PMクラブのにぎやかな女子生徒3人組

 

1 ピアメディエーションクラブ(PMクラブ)の発足

 次年度(2007年)では,それまでの取り組みと併行して,ピアメディエーションの学習、研究、広報等行い、かつメディエーターを養成するサークル活動として、「ピアメディエーションクラブ」を発足させました(通称PMクラブ)。学内にメディエーションルームを設置し、クラブ員に対するピアメディエーションのトレーニングを年間通じて実施することになったのです。

 この時点では、事実上生徒との接触を禁じるという拘束は消滅しており、私は、少なくとも毎週1回は学校に行き、クラブで生徒の指導に当たりました。

 

 PMクラブの取り組みは、少人数の生徒と中心となる教職員、そしてシヴィルのメンバーだけで始められる点で機動力があり、内容も比較的自由なものができるので、学内での最初の活動形式としてはもっとも取り組みやすいものと言えます。

 茨田高校の場合、当初は、教員が、これと思しき生徒を一本釣りで集め(おかしとジュースがエサ)、結果的には、クラブのメンバーが、生徒会や他のクラブの中核的メンバーと重なり合うことになり、クラブが学校全体のピアメディエーションの推進力となりました。

 特に3人の女子生徒が活動の中心となり、その後のPMクラブを支えました。この3人は、活発であると言えば聞こえがいいのですが、非常ににぎやかで、仲がいいのかと思えば、しょっちゅうケンカをし、クラブ内でピアメディエーションをしなければならない言いながら、いっこうに仲直りをしませんでした。

 後述のピアメディエーションドラマも彼女らをメインに製作しています。

 

 

2 予算も付いて,かたちが出来はじめる

 この年、大阪府教育委員会のスクールカラーサポートプラン(集中支援事業)に、ピアメディエーション事業で応募したところ,事業決定となり、260万円の予算がつきました。このお金で、「ピアメディエーショントレーニング講座」(※1)というテキストを作成しています。このテキストは、研修日程の関係で、非常にタイトな製作スケジュールとなり、最後は徹夜で完成させたのをよく覚えています。

 生徒を主人公にしたピアメディエーションドラマのDVDも創りました。シヴィルのメンバーである元劇団の座長やプロのカメラマンに製作をお願いし、なかなかの出来栄えとなっています。

 前述のメディエーションルームの備品もこの予算で購入しています。

 

            

1※「ピアメディエーショントレーニング講座」:第1編テキスト編、第2編解説編に分かれており、

解説編は今でも参考になる点があると思われますので、「ピアメディエーショントレーニング講座

『第2編 解説編』の再録について」をご覧ください。

 

3 府立高校対象の研修‥‥全国制覇に向けて

  この年の画期的事業としては、茨田高校から大阪府下の府立高校全校に呼びかけて、ピアメディエーションの研修を行ったことです(2007年8月7日,8日,9日)。府立高校12校の教員・生徒が約50人参加して、研修が実施されました。

  茨田高校の取り組みが、2年目を迎えたばかりで、茨田でこの先も続くのかどうかもよくわからない状況でしたが、私たちの目標(野望)は、大阪府下の全高校にピアメディエーションを普及させることであり(さらには小学校、中学校にも)、その先には日本全国に普及させるという遠大な目標(妄想)がありました。その普及のための第1歩として、上記研修の開催を実施したのです。

 この他校へ呼びかけて行う夏季研修は、その後3年間継続し、このような活動が、のちにピアメディエーションを大阪府教育委員会が取り上げることにつながったのではないかと思います。