A 日本の調停の特徴は交互に調停委員が当事者を呼び出して事情を聞くことです(別席調停)。そのときに調停委員の見解、意見、価値観等を当事者に押しつけがちになることです。
また、当事者にとって相手方がどのような事実を認識しているのか、意見や要望が有るのか無いのかを調停委員を通してしか聞くことが出来ないことや相手方の言い分、考え、要望を的確に伝えているのかどうか知りようが無く疑心暗鬼に陥りやすいことです。
それに対して、アメリカのメディエーションでは同席調停が多く行われています。同席調停は、当事者双方が目の前にいるためこのようなことは起きることが無く、一方の言い分を相手方も聞いているので何が紛争の原因になっているのかが把握しやすいことです。勿論、交互に当事者に事情を聞きいたほうがいい場合もあります。
メディエーションは市民自らの参加が望まれ、現実に殆どご自身で参加されています。
このように、自分のことは自分で積極的に調停の席に赴いて自分に納得できるまで、話し合いが出来ます。また、メディエーターが運営や進行で調停を中立的立場でサポートしますので安心して話し合いに臨むことが出来ます。さらに、自分が納得できない解決について解決を強制されることはありません。
アメリカのメディエーションは、全てを獲得するのかそれとも全てを失うのかというWIN-LOSEではなく、当事者双方が満足をして紛争を終了するというWIN-WINの精神で各メディエーションが運営されています。
また、日本の調停とメディエーションのもう一つの重要な違いは、調停をする人にあるといえます。日本の調停委員の選任については法律があり最高裁判所が任命することになっています。任命資格は「弁護士か民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する人または社会生活上豊富な知識経験を有する人格識見の高い40歳から70歳未満の者から任命する」となっています。しかしながら、選任された調停委員は調停をするための特別な研修終了者や専門家ではありません。
アメリカのメディエーター(Mediator)としての資質は心理学、社会心理学、法学等必要とされている科目を大学院等で履修し、調停についての技法をトレーニングにて習得することが要求され、且つ、調停につきオン・ザ・ジョブトレーニングを経験して初めて調停者(Mediator)として認められています。そして、彼らは調停者として生計を立てている場合が多いことです。いわゆる調停のプロなのです。
Q1 ADRとは何ですか。
Q5 アメリカのメディエーションと日本の調停(司法調停)は同じですか。
違うとしたらどこが違いますか。
Q6 同席調停と別席調停はどう違うのですか。双方のメリット、デメリットを教えて下さい。
Q7 理想的な揉め事・紛争の解決の仕方とはどんなものですか。
Q8 当事者が主体的に問題を解決する方向に持って行くにはどうすればいいのですか。
Q10 臨床心理から見たメディエーションにおける「聞く」ことの意味を教えてください
Q11 日本のメディエーションの場合同席調停と別席調停のどちらが妥当でしょうか
Q12 ADR促進法とは何ですか。