A ADRの種類について、いろいろな分類が提唱されています。
例えば、調整型と裁断型という分類があります。ADRの場合、紛争当事者の間に第3者が介入しますが、裁断型の場合、第3者が最終的に紛争について解決のための何らかの判断を示します。調整型の場合、第3者は当事者間の利害関係の調整をしますが、判断を降しません。
調整型の典型は、調停ですが、その他にもあっせん、仲介といったものがあり、裁断型の典型は、仲裁です。ただ、日本の裁判所で行われている調停(以下司法調停といいます)は、調停員によって、かなり強引に調停案を飲むよう当事者を説得する場合があり、当事者は拒否できるとはいうものの純粋に調整だけとは言えない面もあります。
また、ADR機関を設置する運営主体の面から分類すると、①裁判所のADR、②行政型のADR、③民間型のADRに分けることができます。①は、言うまでもなく、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所で行われている調停です。②は、国や地方公共団体が運営するもので、労働委員会や公害等調整委員会等があります。③は、民間の団体が運営するもので、財団法人交通事故紛争処理センター、弁護士会の仲裁センター、各種PLセンター等があります。PLセンターは、製造物責任法が施行されるに伴い、当時の通産省が各種業界団体に対して、製品分野別の紛争解決体制の整備を要請して設立されたもので、業界型と言われたりします。
ところで、この民間型のなかには、NPO型ともいうべきタイプもあります。NPOすなわち非営利特定法人が運営するADRで、まだ数は少ないですが、私たち「シヴィル・プロネット関西」等があります。業界型のADRは、ともすると業界寄りであると見られてしまいがちですし、弁護士会の運営する場合は少し敷居が高いという感覚が市民の中にあります。しかし、NPO型の場合、中立性・公平性をアピールでき、市民が参加しやすい形態という点で注目されています。