A
時効の中断
認証ADR機関で争っている間に,時効期間をすぎてしまった場合,もはや訴訟で争うことができなくなります。
この不都合を解消するため,民間ADR機関での調停が不調に終わった場合,一定期間内に訴訟を提起すると,民間ADR機関への調停申し立て時に訴えの提起があったとみなして,遡って時効の中断効を認めました。
訴訟手続きの停止
当事者間に認証ADR機関での紛争解決手続によってその紛争の解決を図る旨の合意があり,当事者の共同の申立がある等の一定の要件を満たす場合には,裁判所は一定の期間を定めて訴訟手続を中止することができることになりました。これにより,訴訟を提起した後でも,訴えを取り下げることなく,示談交渉に専念できるようになりました。
調停前置主義の排除
離婚事件や賃料増減請求事件等の場合,いきなり訴訟を提起するとことはできず,まず,調停を申し立てなければならないことになっています(調停前置主義)。
このように訴え提起前に裁判所の調停を経なければならない事件のうち一定のものについて,訴え提起前に認証ADR機関の紛争解決手続を経ている等の一定の要件を満たす場合には,原則として,調停の前置を要しないとしました。