Q13 認証制度はどういうものですか。認証を受けることの意味は何ですか


A 民間のADR機関が,一定の要件を備えて,法務大臣に認証を申請する制度です。認証を受けた者をADR促進法では,認証紛争解決事業者と呼んでいますが,ここでは認証ADR機関と呼ぶことにします。

 

 ADR促進法の実務的にもっとも重要な立法目的は弁護士法72条との関係の整理です。弁護士法72条は,いわゆる非弁行為を禁止しており,非弁行為をすると刑罰が科せられます。非弁行為とは,弁護士でない者が,報酬を得る目的で,業として,仲裁,和解その他の法律事務を取り扱うことを言います。この弁護士法72条が,民間のADR活動にとって,最大のネックとなっていました。弁護士が関与せずに,民間のADR機関が,調停を行い,それにより報酬を取ると弁護士法72条違反になる可能性が高いのです。ADR機関も,まったく収入なしに活動を継続することはできません。日本において,民間のADR活動が低調である大きな原因は,この規定にありました。

 

そこで,ADR促進法は,民間のADR機関が,認証を受ければ,報酬を得ることができるとしました。ただし,ADR促進法は,調停者が弁護士でない場合,法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに,弁護士の助言を受けることができる措置を講じておくことを要求しています。この「弁護士の助言を受けることができる措置」について,どの程度の措置を講じればいいのかは,現段階ではあまり明確ではありませんが,国会の法務委員会で政府参考人は「時機を逸することなく,手段としても時間的にも容易に,具体的事案に即して,手続実施者(調停人)の説明の資料の精査等を踏まえた弁護士から助言を受けること」が必要であると答弁しています。