1はじまり ハワイでのピアメディエーション~

 

オアフのゴルフ場にて

 

 私たちが,ピアメディエーションを取り組むことを決めたのは,2006年3月18日,ハワイ州オアフ島のゴルフ場でした。

 当時、私が所属していたNPO法人シヴィル・プロネット関西(※1 以下シヴィルと言います)が、ホノルル市で開催されるピアメディエーションのワークショップに招待されました。同じシヴィルの会員である臨床心理士の山中祥匡さんと参加することが決り、ホノルルでシヴィルの顧問であるリチャード宮王さん(ハワイ州弁護士,元ハワイ大学法学部長)と合流し、3人でワークショップに参加しました。

 ワークショップはホノルル市のロータリクラブが主催し,オアフカントリークラブのクラブハウスが会場でした。ちなみに、このゴルフ場は、1906年にオープンしたハワイでは最も歴史のあるハワイ最古の名門ゴルフ場です。山の中にあり緑が豊かで、ハワイ内でも特に降雨量が多く、たいへん美しいコースです。残念ながらゴルフはしていません。

 

 

     1※シヴィル・プロネット関西:2000年に大阪府の認証を受けたNPO法人。活動の中心は、メディエーション、

     ピアメディエーションの研究・教育・実践,企業間紛争に関するADRの研究、街づくりADR ,マンションADR等。

 

オアフカントリークラブ
オアフカントリークラブ

子どもたちが学ぶ人間関係の形成

 

 当日のワークショップは、小学生を対象としたものであり,本格的なピアメディエーションのトレーニングというよりは,人間関係の形成を主眼としたものでした。20人ほどの小学生とその保護者,教師,カウンセラーが参加し,子どもとおとなが一緒に参加して行うセッションや,別々に行うセッション(グループワーク)があり,私たちも参加させていただきました。

 内容的には、①生徒にどのようにしていじめと向き合うかを考える、②高校生のメディエーターの話を聞いて、どのようにしてメディエーションを行っているのか、またメディエーターになって個人的にどのように役立っているのかを学ぶ、さらに③話合いのための新しい方法としての効果的なコミュニケーションに関するワークショップや④平和をテーマにしたDVDの鑑賞と話し合いが行われました。

 

 ワークショップ終了後に、ホノルルロータリークラブ支部長のトレーシーさんにお話を伺ったところ、参加した児童の学力はばらばらであり、成績優秀な子もいれば、少しやんちゃで学力の低い子もいたとのことでした。たしかに、休憩時間にトイレで会った子どもたち2,3人に「楽しいか」と尋ねると、はっきりと「楽しくない」と言っていました。

 

 

日本でどうするのか・・・

 1日だけの集まりでしたが,大いに触発されるものがあり,日本でもなにかピアメディエーションの取り組みができないかと考えました。

 ワークショップ終了後,私と山中さん,宮王さんとで、このピアメディエーションを日本で展開するにはどうしたらいいのかを話し合いました。当時,日本では、一部の研究者がピアメディエーションの紹介や研究発表を行っていた程度であり(という認識でした),私たちも知識としては一応知っていたものの,実際にピアメディエーションでは何を学び、運営はどのようになされ,いかなるトレーニングが行われているのかなど、ほとんどと言っていいくらい知りませんでした。

 それでも3人で、あれやこれやと協議した結果、ピアメディエーションが子ども達の人間関係の形成,コミュニケーション能力の発達にきわめて有効であるとの結論に達しました。しかし、日本の学校現場でピアメディエーションを行っているという話を聞いたこともなかったので,どのようにしてピアメディエーションを展開していくのかということについては雲を掴むような話でした。それでも何とかして日本でピアメディエーションを実現したいという思いから,まず子どもたちのコミュニケーション能力の形成・発達,学校における対話の促進を主眼とすることとし,とりあえず高校生を対象とすることから始めようということになったのです。具体案はなにもありませんでしたが‥‥。

 

 ちなみに、高校生から始めることにしたのは、私たちにとって(特に私)、子どもたちとそもそも会話が成立するのか不安だったからです。当時の私は、50歳くらいですから、高校を卒業して30年以上も経過しており、学校現場から遠ざかって久しく、かろうじて話をする未成年者は虞犯少年だけでした。小学生や中学生よりも高校生のほうがまだしも「言語」が通じるのではないか、逆に大学生では大きくなりすぎているということで、高校生から始めることにしたのです。高校から始めたことについては、その後各種方面から批判(?)を受けることになります。